食品安全マネジメントシステムとは何か--ISO22000と「食品安全」を確保するための各システム

摘要

今さら何を？ と思われるかも知れないが、このことをあらためて確認することは本稿を進める上でも重要なので一節を割かせていただく。 食品はすべて人が口にするものであるから、誰が考えても安全でなければならないことは当然であるが、読者を含めて私たちが食品安全を論ずる時に考慮すべきことは、安全を損なった場合の影響の大きさであろう。 は過去8年間にわが国で発生した食中毒を原因施設別に分類したものである。 飲食店や旅館·仕出屋、また給食施設では、発生件数に対して患者数が多いという特徴があるが、これは当然ながら不特定多数の消費者に食品を供給しているからである。 家庭においても一般に主婦が食品を調理して、家族や少数の特定の人たちにそれを供するわけであるが、発生件数に対する患者数はきわめて少ない。 家庭では、調理を担当する主婦が手洗いや調理器具の洗浄、食材の保管に注意を怠らなければ、食中毒など安全を損なう事態は容易に防げると考えられる。