モーリタニア·イスラム共和国の金属鉱床

摘要

モーリタニアはReguibat楯状地，Taoudeni堆積盆，Tindouf堆積盆，モーリタニア変動帯および大西洋岸堆積盆の5地質区で構成されるが，重要な金属鉱床はReguibat楯状地とモーリタニア変動帯の2つの地質区に限られて分布する。 Reguibat楯状地の中央部には，始生界に磁鉄鉱層および下部原生界中に大規模，高品位の赤鉄鉱－BIFが胚胎し，モーリタニア経済を支える鉄鉱山の供給源となっている。 また本楯状地南西部には，始生界グリーンストーン帯のBIF中に浅-中熱水の合金石英網状，鉱染状鉱床（例：Tasiast金鉱床）が発達し，さらに玄武告，蛇灰岩中には合金石英脈（例：Tijirit Ator金鉱脈）が胚胎する。 モーリタニア変動帯では，銅·金の鉱化作用が最も重要である。 これらは，緑泥石片岩中の炭酸塩岩を交代した含磁鉄鉱銅·金鉱床（例：Guelb Moghrein鉱床），塩基性片岩·炭酸塩岩中の銅·金鉱脈（例：Tabrinkout），安山岩質-玄武岩質火山岩類中の銅（·金）鉱脈（例：Indice78，Oudelemguil鉱徴地）および鉱染状銅鉱床（例：Kadiar鉱床）である。 これらに次いで重要と思われるものは，蛇紋岩中の白金族の鉱化を含む正マグマ型クロム鉄鉱鉱床（例：Guidimaka）である。 モーリタニアではまだ探査活動が一部で始まったばかりで，今後調査，探査が組織的に実施されて行くことにより，開発が促進されて行くに違いない。 また全体として未踏査のレベルであり，銅，金などが賦存するポテンシャルは大きい。 当面はReguibat楯状地の金鉱床，モーリタニア変動帯の銅·金鉱床並びに含白金族クロム鉄鉱床の一部が具体的となっており，これらをターゲットに探査，開発が推進されることが望まれる。