凍結融解を繰り返した400m/全血採血由来新鮮凍結血漿の品質について

摘要

融解した新鮮凍結人血漿（FFP)は，温度に不安定な凝固因子活性が経時的に低下することが海外で報告されて いるが，凍結融解を繰り返したFFPの品質変化を評価した報告はない.そこで400mJ全血採血由来FFPについて 3回凍結融解時の品質評価を行った.凍結融解を繰り返すことにより第V因子活性，第vm因子活性は低下し，活性化部分トロンボプラスチン時間は 延長する傾向を示したが， pH,ナトリウム濃度，カリウム濃度，プロトロンビン時間，フイブリノゲン濃度，第II 因子活性，第VII因子活性，第XI因子活性，フォンヴイレブランド因子リストセチンコファクター活性に有意な変 化はみられなかった.3回目凍結融解FFPのプロトロンビン時間は11.3±0.7secで，生物学的製剤基準の凝固試験の判定基準である20 sec以下を保持し，第Vni因子活性は0.72 土 0.23IU/miとEUガイドライン（0.70IU/mJ以上）の値を保持していた. トロンビン生成時間に関する項目は，凍結融解により延長する可能性が示唆されたが，トロンビン生成率最高値及 び総トロンビン生成量に有意な低下は認められなかった.FFP再凍結使用は無菌性担保などが必要であるが,液製剤の有効利用につながる可能性があると考えられた.