慢性膵炎代償期の膵炎発作の頻度と画像的特徴および 非代償期の膵内外分泌能に対する影響

摘要

慢性膵炎は進行性の病変であり，成因によってアルコール性と非アルコール性に，病期 によって代償期と非代償期に分類される。代償期の膵炎発作が膵石形成および非代償期の膵外 分泌能，膵内分泌能に与える影響を検討した。当科加療中の膵石を有する非代償期慢性膵炎症 例を対象に，慢性膵炎の成因と代償期における膵炎発作の回数，頻度を調査，また非代償期に おける膵石の画像的特徴，血中栄養指標，血糖コント口一ルを検討した。代償期の膵炎発作が0~2回であった群（非頻回群）および3回以上であった群（頻回群）に分けると，頻回群は 全例アルコール性で，血中栄養指標は低い傾向であった。非頻回群は非アルコール性で大結石 を有する例が多く，全例が糖尿病を発症していた。慢性膵炎非代償期の消化酵素大量補充療法 やインスリン投与療法は，病態だけで行うのではなく，外分泌機能や消化吸収能，インスリン 分泌能や血糖推移を実際に評価して行われるべきものと考えられた。