ゲノム解析に基づく膵癌の発生·進展に関わる遺伝子変異と，遺伝子診断および分子標的治療への応用

摘要

膵癌はきわめて治療成績が悪い。 予後という観点からみると，現時点では切除可能な時期に診断して手術することが最良である。 癌は遺伝子の病気であり，さまざまな遺伝子の異常が蓄積して多段階に癌が発生する。 膵癌においても然り。 発癌の本質を見据えた診断?治療戦略が必要である。膵癌ではKRAS，p16，p53，SMAD4などの異常が高頻度に報告されているが，KRASを軸としたPCRによるDNA診断とSMAD4を軸としたFISHによる診断が有用であるものと考えられる。 また，治療面では，p53を軸とした方法が注目される。 遺伝子解析研究の知見を発展させ，より高感度，高精度の遺伝子診断法，ならびに分子標的治療法を開発することが重要である。