ヒトにおける~(123)I-FP-CITの代謝

摘要

健常人でのN-(3-フルオロブロビル)-2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフユニル)ノルトロパ(~(123)I)(~(123)I-FP-CIT)の代謝について検討した. ~(123)I-FP-CIT注射液を静脈内投与後に得た血漿および尿を,2次元薄層クロマトグラフ法で分析した.血漿中および尿中にそれぞれ11種の放射化学的成分を認め,そのうちそれぞれ4種を未変化体の~(123)I-FP-CITおよびその代謝物の, N-(3-フルオロプロピル)-2β-カルボキシ-3β-(4-ヨードフェニル)ノルトロパ(~(123)I)(~(123)I-acid), 2β-カルポキシ-3β-(4-ヨードフユニル)ノルトロパン(~(123)I)(~(123)I-nor-acid)および2β-カルポメトキシ-3β-(4-ヨードフユニル)ノルトロパン(~(123)I)(~(123)I-nor-CIT)と同定した.これら4種の放射化学的成分で,血漿中および尿中放射化学的成分比それぞれの約80%以上を占めた.そのうち,代謝物では極性の高い~(123)I-acidおよび~(123)I-nor-acidがその大半を占め,脂溶性の~(123)I-nor-CITはわずかであった.また,遊離のヨウ素イオン(~(123)I-)は認めなかった.以上のことから, ~(123)I-FP-CITが受ける代謝反応は,主にエステル結合の加水分解およびN-脱アル,キル化であり,脱ヨウ素化はわずかなことが明らかとなった.また, ~(123)I-FP-CITの血漿中代謝物が,線条体ドパミントランスポータの評価に与える影響は少ないと推察した.