骨軟部腫瘍の良悪性鑑別における~(201)Tlシンチグラフィの視覚的および定量的評価の検討-SPECTを中心に-

摘要

骨軟部腫瘍48例(悪性17,良性31)を対象として,早期および後期にて~(201)TI-SPECTを施行し,良悪性鑑別におけるその有用性を検討した.視覚的には腫瘍部に早期像で高集積を示し,後期像で依然として高集積が確認できるものを悪性とし,それ以外のものを良性とした.定量的には腫瘍部の対側健常組織との集積比{early ratio (ER), delayed ratio (DR)},腫瘍部の早期像と後期像での集積比{tumor delay/tumor early (Td/Te)},同じく健常部位での集積比{normaldelayormal early (Nd/Ne)}を求めた.視覚的評価では悪性腫瘍16例に集積を認め,良性腫瘍12例は集積を示さず,正診率=85.4%,有病正診率=94.1%,無病正診率=80.6%であった.定量評価では悪性および良性のERはそれぞれ5.5±3.7, 2.7±2.2(平均±標準偏差)で有意に悪性が高く, DRは有意差を認めなかった. ERが3.9を超えるものを悪性病変とすれば85.4%の正診率が得られた. Td/Teは悪性で0.77±0.09,良性で0.97±0.28と良性の方が有意に高かった. Nd/Neは1.4より高く,筋肉を含む健常組織は明らかに後期像にて早期像より高い集積を示していた.~(201)TI-SPECTは良悪性の判定に非常に有用であった.視覚的評価では後期像が必要であるが,定量評価ではERが重要であった.