前眼部光干渉断層計による円錐角膜と正常眼の前眼部形状の比較

摘要

目的：前眼部光干渉断層計(以下，前眼部OCT)を用いて，円錐角膜と正常眼の前眼部形状を比較検討すること.対象と方法：対象を円錐角膜群(40例60眼)，円錐角膜疑い群(10例10眼)，正常群(13例21眼)とし，前眼部OCTで得られた画像を用いて隅角間距離，前房深度，および角膜厚分布の角膜中央から周辺への増加率を算出した.結果：隅角間距離は3群において有意差はなかつた.前房深度は3.6mmを超える症例が円錐角膜群において正常群より有意に高値であった.角膜厚は各方向ともに中心から半径3mmまでは，円錐角膜群，円錐角膜疑い群で正常群に比較し有意に薄かつたが，4 mm地点ではすベての方向で，円錐角膜疑い群，円錐角膜群の平均値は正常群の95%信頼域内であつた.角膜中央から周辺への厚みの変化率は，すべての方向において円錐角膜群が最も大きかった.結論：前眼部OCTでは角膜混濁を来す進行例でも角膜の全体像や角膜厚の分布を定量的に把握でき，ハ一ドコンタク卜レンズの処方や角膜移植での切除範囲決定において今後応用できる可能性がある.