深在性真菌症治療の新展開

摘要

深在性真菌症は免疫不全患者に発症する日和見感染症として予後不良の疾患である．深在性真菌症の治療には抗真菌薬が投与されるが，細菌感染症の治療薬である抗菌薬に比して極めて限られており，臨床効果は十分とは言えなかった．最も古くからある抗真菌薬であるアムホテリシンBからフルシトシンさらには初期のアゾール系抗真菌薬であるミコナゾール，フルコナゾール，イトラコナゾールなど3系統5薬剤によって数十年に渡って深在性真菌症の治療が試みられてきた．特にフルコナゾールの登場によって深在性真菌症，なかでも酵母状真菌であるカンジグ属ヤクリプトコックスによる感染症の治療効果は格段に向上した．