言動異常，不穏，下肢異常運動で発症した非ヘルぺス性辺縁系脳炎の28歳女性

摘要

症例は28歳，女性.突然の言動異常，不穏，下肢異常運動を認めた.頭部画像上明らかな異常所見なく， 髄液検査で細胞数の軽度上昇を認め，辺縁系脳炎が疑われた.ステロイドパルス療法，yグロブリン大量療 法が有効であった.左卵巣奇形腫を認め，血清，髄液中グルタミン酸受容体（GluR)抗体はs2のみ陽性で あった.臨床経過としては若年女性に好発する急性非ヘルぺス性脳炎.Dalmauらの提唱した抗N-methyl-D-aspartate (NMDA)受容体脳炎に酷似し，奇形腫の摘出なく改善傾向を示し，免疫治療が有効であった と考えられた.左卵巣奇形腫摘出術は発症約8力月後に施行した.