Fluvoxamine単剤投与が用量依存性に奏効し，長期に経過を追跡できた社会不安障害め1症例

摘要

社会不安障害は，従来わが国の文化や対人関係様式と関連がある文化結合症候群と考えられていた「対人恐怖」と類似する病態である。 欧米では「無視された不安障害」と呼ばれたように，近年になるまで関心が払われることは少なかった。 1980年にアメリカ精神医学会が発表したDSM－IIIで，初めて社会恐怖socialphobiaとの診断名で，国際的診断分類に取り上げられた疾患であり，当初は比較的まれな恐怖症の1亜型とされていた。 しかし，その後の調査により，生涯有病率は4％～14％とはるかに頻度の高い精神障害であることが明らかとなった。