糖尿病患者における経口糖尿病治療薬の服用状況に関する調査結果

摘要

2007年の厚生労働省による国民健康·栄養調査における推計では，糖尿病が強く疑われる人口が約890万人，可能性を否定できない"予備群"が約1,320万人で，その合計は2,210 万人に達する。糖尿病患者の男女とも5%程度に治療中断が認められ，従来，糖尿病三大合併症と言われてきた網膜症，腎症，神経障害だけでなく，心血管イベントの発症も助長させることが危惧される。そこで，疾患教育および服薬指導等の効率的実践に活かすため， 治療コンプライアンスの低い患者集団の明確化，服薬コンプライアンス向上における口腔内崩壊錠の患者の評価について調査した。その結果，経口糖尿病治療薬を飲み忘れる集団は糖尿病患者の約2/3に上ると推察された。飲み忘れの多い患者集団は専門職，製造-建設関係，クリエイティブ系の職種に就いている傾向がみられ，時間的な制約の多さがその背景にあることが示唆された。このような患者集団に対しては，特に入念な疾患教育と服薬指導が必要であると言える。また，口腔内崩壊錠に対して，糖尿病患者は比較的高い服用意向を示したことから，同剤形は服薬コンプライアンス向上の有力な手段の1つになると考えられた。