腎·尿管結石に対するESWL施行後の猪苓湯の排石促進効果と尿量に関する調査

摘要

体外衝撃波結石破砕術（ESWL）施行患者に対する猪茶湯の排石促進効果と尿量の変化について調査した。ESWL施行後，猪苓湯を処方された16例（猪苓湯群；男性7例，女性9例）と，処方されなかった14例（対照群；男性6例，女性8例）について，初回ESWL施行後完全排石に至るまでの日数（中央値）を比較すると，猪茶湯群20.5日，対照群28.5日で，猪苓湯群が対照群に比べて短かった。 採尿可能であった症例について尿排泄率の変化を比較したところ，猪苓湯群（8例）では全例でESWL施行当日から7日間の平均尿排泄率が増加したのに対し，対照群（8例）では2例で減少した。 しかし，ESWL施行日から7日間の1日平均尿量と完全排石日数との間には相関は見出せなかった。 猪苓湯の結石排出効果は明らかであるが，その尿量増加作用は顕著なものではなく，作用機序についてはさらに検討の余地があるものと思われた。