COPDの合併症1)心疾患，肺高血圧症と肺性心

摘要

心血管系疾患は主要な慢性閉塞性肺疾患(COPD)の合併症であり，合併率は高い.虚血 性心疾患，心不全，心房細動および高血圧症がおもな疾患であり，予後に影響を及ぼす.成人の安静時肺動脈圧は15 mmHg以下が正常値である.COPDでは平均肺動脈圧が 20 mmHg以上の肺高血圧を示すことがある.持続した肺高血圧症は右室の肥大と拡張 をもたらし，肺性心(cor pulmonale)とよばれる状態になる.肺高血圧症が合併すると，運動耐用能が低下してQ0Lを低下させる.急性増悪の頻度を 増加させて，予後を悪化させる.酸素は肺血管に選択的な血管拡張作用を示し，C0PDに合併する肺高血圧症に対して有 効性が示されている.M管拡張薬の投与は，現時点ではェビデンスが乏しく推奨されな い.気流障害が軽度?中等度であるにもかかわらず顕著な呼吸困難と重度の肺動脈圧の上昇 を示す，予後不良である一群が存在し，out of proportion PHと認識されてきた.