第一寛解期急性骨髄性白血病に対する治療選択一マルコフモデルを用いた臨床決断分析一

摘要

第一寛解期を達成した急性骨髄性白血病(AML)に 対して，第一寛解期のうちに同種移植を行うべきか，そ れとも再発後に移植を検討するべきかという疑問は， AMLの治療にかかわるすべての医師にとって重要な問 題であり続けている。AMLのうち60~80%の患者が第 一寛解を達成するものの,地固め療法などの化学療法 のみで治療を終了した場合には，再発をきたす症例が少 なくない。同種移植は有意に再発率を低下させ，洽癒を もたらす可能性を高める治療法として確立されている。 しかし，同種移植では化学療法よりも高い治療関連死亡 が問題となるため，移植の適応はAMLの予後リスクや 患者年齢，ドナーの有無などによって検討され，第一寛 解期の寛解後療法が選択されてきた。寛解後療法として の同種移植対化学療法の比較については，各国各グルー プによって多くの前方視的試験が行われてきた。