漢方とプロバイオテイクス

摘要

漢方処方を構成する生薬にはさまざまな配糖体が有効成分として含まれている.ところが, β結合をもつ配糖体はそれ自体はと卜消化酵素によって分解されないため,生体内利用率が著しく低い.そこで,配糖体は腸内細菌による代謝(加水分解)を受けることで親油性が高まることによってはじめて吸収され,薬効を発揮するようになる.ところで,腸内細菌叢の構成は個人差が大きいため,その加水分解率も一定せず,薬効における個人差を引き起こす一因になることが懸念される.そこで,著者は人参配糖体を加水分解できる機能性プロパイオテイクスを開発し,人参既用者に併用させた結果,人参配糖体の加水分解率が標準化され,人参の薬効が改善されるという成果を得た.プロパイオテイクスの漢方領域への応用が期待される.