新世紀におけるDIC診断基準に求められるコンセプト

摘要

DICはさまざまな基礎疾患に合併し，それぞれの病態によって異なる機序をとりながら進行するため，きわめて多様な病態を包含している．しかし，一方では増悪すれば消耗性の凝固異常や臓器障害に至るという点で共通性がみられ，重症化に至る経路において凝固線溶異常がおもな役割を果たしている点がその特徴といえる．DICを異なる基礎病態別に診断することは一見合理的にみえるが，これは"基礎疾患によらず，全身的に血管内凝固の異常活性化がみられる状態"というDICの概念そのものを否定することになりかねない.したがって，著者らは基礎病態の多様性によらず，共通してみられる凝固線溶異常に着目し，より正確で感度の高い統一診断基準づくりに挑戦していくべきであると考える．