プロパイオテイクスによるHelicobacter pylori抑制効果

摘要

Helicobacter pylori(H. pylori)はヒトの胃粘膜に感染するグラム陰性菌である. H. pyloriの感染は胃上皮に炎症を引き起こし.その炎症が慢性化し.胃潰瘍,胃癌に進展していく.日本ではH.pylori感染者は6,000万人に達するとみられている.しかし,医療費や抗生物質耐性菌の問題などから,抗生物質による除菌治療は胃·十二指腸潰瘍の治療のみに限定されている.そこで著者らは, H,pylori抑制効果をもつプロパイオテイクスとしてin vitro試験および動物試験によりLactobacillus gasseri OLL2716(LG21を選抜し,ヒト臨床試験におけるH.pylori抑制効果を確認した.さらに, LG21のH.pylori抑制作用機序は乳酸による殺菌や生物学的競合だけでなく, H, pyloriの病原因子分泌に関与するIV型分泌機構への抑制作用が考えられた.