カルシウム感知受容体異常症

摘要

カルシウム感知受容体（calcium sensing receptor：CaSR）は．細胞外Ca~（2+）イオンをりガンドとするG蛋白共役型の膜受容体である．CaSRは副甲状腺にもつとも強く発現されており．副甲状腺ホルモン（parathyroid hormone：PTH）の産生·分泌を抑制するネガティブフィードバックを媒介し．Ca代謝に重要な役割を果たしている．したがって，CaSR遺伝子の変異やCaSRに対する自己抗体は種々のCa代謝異常症を引き起こす．一方．CaSRのアニストやアンタニストはそれぞれcalcinlimetics,calcilyticsとよはれ．骨·Ca代謝異常症の治療薬として開発が進められており,一部はすでに臨床応用されつつある．本稿ではCaSRの構造·機能とその異常がもたらす疾患について概説し,CaSRを標的とした治療薬の開発とその展望について述べる．