メタポリツクシンドローム インスリン抵抗性は高血圧の成因か

摘要

インスリン抵抗性·代償性の高インスリン血症は交感神経系やレニンーアンジオテンシン(RA)系などの昇圧系の活性亢進をきたして昇圧すると考えられる.また,腎や心血管系でのNa代謝調節に直接作用して体内Na貯留や末梢血管抵抗を増大させることも機序の一部と考えられる.さらに,インスリン抵抗性を改善する薬剤の長期投与で有意な除圧を示すことも多数報告されている.したがって,インスリン抵抗性は高血圧における昇圧の機序の一部となりうることから,高血圧の薬物療法の選択においては降圧作用のみならず,インスリン感受性に対する影響も考慮する必要がある.このことば,高血圧を含め相互に合併しやすい糖尿病,脂質代謝異見肥満の重積による動脈硬化の高リスク群であるメタポリツクシンドロームを管理するうえでも重要である.