肩こりに葛根湯が有効であった平凡な1症例から考えた生薬の駆瘀血作用の一考察

摘要

肩こりは、日本人の最も多い愁訴の一つである。しかし西洋医学的に肩こりに対する決定的治療はなく、葛根湯が重要な選択肢の1つであるのは周知の事実である。今回葛根湯が肩こりに有効と考えられた症例を通じて駆瘀血作用に寄与する生薬の薬能の1考察を報告する。自覚症状では項背部を中心に肩にかけて痛む。夜間に増悪する。冷えはない。食欲良好。汗をかきやすい。のどが渴く。食欲良好。尿は1日7?8回。便秘なし。他覚所見では顔色良好。脈候は浮やや緊。舌候では、舌質は淡紅色で薄白苔で歯痕を認めなかった。