高アンモニア血症一大建中湯効果のメカニズム

摘要

これまで高アンモニア血症にはラクッロース?などが広く用いられてきたが, 2004年にKaihoらが肝臓切除後の大建中湯のアンモニア上昇抑制作用について報告し，注目されている.今回，大建中湯の高アンモニア血症に対する効果について報告する.大建中湯の抗アンモニア上昇効果については，大きく 2つの機序が関与していることが推測される.1つ目は，腸管血流上昇作用ゃ抗炎症作用により術後腸管浮腫が軽減し，bacterial translocation (BT)の発現減少，炎症性メディエーターの抑制が起こり，これにより肝細胞傷害が軽減して高アンモニア血症を改善することである.2つ目は，大建中湯の腸管運動亢進作用が腸管細菌，特にアンモニア産生菌の異常増殖を抑制することにより，高アンモニア血症を改善することである.以下，それぞれの効果についてェビデンスを示す.