トラヘルパー（経皮的気管穿刺針）挿入

摘要

意識障害や術後疼痛のある患者では自力による喀痰の喀出がなかなか難しいことが多く，重篤な肺合併症の原因となることも少なくない．このような症例に対して，水口らが考案したトラヘルパーを用いると肺合併症の予防や治療に有効である．トラヘルパー挿入は手技が簡単であり，安全に行え，確実に気管内や気管支内の喀痰吸引を行える方法である．トラヘルパーは図1のごとく，金属製の内針とテフロン製の外筒からなり，外筒は気管内に留置するために気管粘膜を損傷しないように先端を軽度に彎曲させてあり，吸引管を挿入した際，左右の気管支まで選択的に挿入できるように工夫されている．サイズは6，8，10Frと3種類あり，成人には一般に10Frサイズが使用されている．