糖尿病性壊疽による手指先端部脱落後に骨露出を伴った潰瘍に対してトラフェルミン（フィブラスト~Rスプレー）が奏効した1例

摘要

トラフェルミンは，遺伝子組換えヒト塩基性線維芽細胞増殖因子（recombinant human basic fibroblast growth factor）を含有する外用剤であり，皮膚潰瘍の治療に用いられる。 今回我々は，手指潰瘍に対してトラフェルミンを用いて治療し良好な結果を得た腎透析中の糖尿病性壊疽患者の1例を経験したので報告する。患者：58歳，女。 初診：平成14年8月19日。 主訴：左第Ⅱ指の皮膚潰瘍治療中に生じた左第Ⅳ指の黒色壊死。家族歴：特記すべきことなし。 既往歴：糖尿病，糖尿病性腎症による慢性腎不全（平成9年2月より維持透析中）。 現病歴：左第Ⅱ指の黒色壊死を伴う皮膚潰瘍を主訴に当科受診。 デブリードメントと外用療法で治癒したが，その経過中である平成14年10月15日の当科受診時に，黒色壊死物質の付着した左第Ⅳ指後爪郭潰瘍を新たに認めた。