精索静脈痛患者の治療成績一高度乏精子症症例について －

摘要

高度乏精子症症例に対して内精静脈高位結繋術を施行し，その治療成績を検討するとともにその予後を予測する因子についても検討した．術前精子濃度が10×10~6/ml未満の症例で手術を施行した26例を対象とした．精巣容積，血中ホルモン億および精巣細織所見の検討を行なうとともに，手術前後の精液検査を施行した．精子濃度を5×10~6/ml未満（Ⅰ群）および5×10~6/m~10×10~6/ml未満（ⅠⅠ群）に分けて検討すると，精子濃度別ではⅠ群では精子億度および精子運動率が，ⅠⅠ群では精子億度が術後着意に増加した?精液所見の改善は全体では26例中15例（58％）に認められ，Ⅰ群では57％，ⅠⅠ群では60％であった.妊娠は全体では26例中9例（35％）に認められ，精子濃度別ではⅠ群：29％，ⅠⅠ群：60％であり，高度乏精子症のうち5×10~6/ml以上のものは，比較的高い妊娠率が期待できた．術前の各種パラメーターの中で精液所見の改善には血中FSH倍が，妊娠には精子濃度が有用であることが考え．られた.結論として高度乏精子症においても手術の治療成績は比較的良好であり，特に，5×10~6/ml以上の症例ではまず，外科的治療によりその効果を見極めることが肝要と思われる.