自ら‘うつ’であると主張する患者にどう対応すべきか-新型うつ病，発達障害，双極性障害のうつ状態への対処方針-

摘要

横断面でうつ病の診断基準を満たすものの，いわゆるメランコリ一親和型うつ病と は異なる病態のうつ状態も現実の臨床には多くみられる。操作的診断基準でうつ病と診断 される場合であっても，生物学的異種性を含むさまざまな疾患をひとまとめに診断してい る可能性があり，非定型うつ病や'新型'うつ病についての議論を深め，対処方針を検討す ることが必要である。自責感に乏しく他罰的傾向を持ち，抑制症状よりも回避症状を呈す るいわゆる'新型'うつ病の出現は，秩序や役割への一体感が薄くなった社会背景と関連が あるかもしれない。「個の尊重」を主題として育った世代が，社会的出立に際してうつ状態 に直面する。自らうつであると主張する患者の中には，発達障害，双極性障害，非定型う つ病なども含まれている可能性がある力';，本稿ではこうしたうつ状態のアセスメントゃ対 処方針について議論する。