Reverse Transcription-Loop-Mediated Isothermal Amplification (RT-LAMP)法による新型ィンフルェンザゥィルスおよび季節性A型インフルエンザウイルス（H1N1， H3N2)の迅速検出

摘要

2009年4月にメキシコ，アメリカで確認された豚由来の新型ィンフルェンザの迅速診断および季節性A 型ィンフルェンザウィルスの判別を目的にReverse Transcription (RT)-LAMP法によるィンフルェンザゥィルスの検出法を検討した.新型インフルエンザウイルスA (HlNl)および季節性インフルエンザウィルスAソ連型（HlNl),A香港型（H3N2)の各HA遺伝子の遺伝子配列を基にプライマーを設計し，新型， Aソ連型，A香港型の検出系を構築した.63°Cで40分間のRT-LAMP反応では，各亜型およびB型インフルェンザウィルス，C型インフルエンザウイルス，アデノウイルス，RSウィルス，メタニューモウィルス，パラインフルエンザウイルスおよびライノウィルスとの交差反応は認められず，新型，Aソ連型，A 香港型をそれぞれ特異的に検出できることが確認された.また，RT-LAMP反応液に加えたェリオクロムブラックTにより，陽性検体の反応液の色は赤紫から青色に変化し，リアルタイム濁度測定装置を用いなくても陽性陰性の目視判別が容易であつた.新型ィンフルェンザの疑いで持ち込まれた139検体について今回構築したRT-LAMP法とリアルタイムRT-PCR法で新塑インフルエンザウイルスの検出を試みたところ， RT-LAMP法では，リアルタイムRT-PCRで新型ィンフルェンザウィルスが検出された112検体中110検体で検出され，ウイルス量が少なかった2検体はリアルタイムRT-PCR法のみで検出された結果となった. また，リアルタイムRT-PCR法で新型陰性となった27検体のうち4検体はゥィルス分離およびコンぺンショナルRT-PCRでA香港型であつたが，この.4検体についてはA香港型検出系のRT-LAMPでいずれも陽す生となった.以上の結果から，今回構築したRT-LAMP法によるインフルエンザウイルスの迅速診断法は，新型，A ソ連型，A香港型ィンフルェンザの迅速な検出および判別が可能であることが示唆された.