総論皮膚とTリンパ球サブセッ卜と腫瘍化

摘要

皮膚リンパ腫は希少がんではあるが，節外性リンパ腫の中では発症頻度が高い。原発性皮虜T細胞リンパ腫(CTCL)の代表格は菌状息肉症で，腫瘍性T細胞は皮虜に長く留まるResident Memory T細胞である。一方，白血化CTCLがS6zary症候群である。両者は近緣疾患と考えられてきたが，息肉症細胞とSezary細胞とは表面形質や機能が異なることが分かつてきた。リンパ腫細胞のクローン解析技術が飛躍的に進歩し，網羅的染色体解析や次世代シーケンサー(NGS)を用いたT細胞受容体(TCR) レパ卜ア解析が臨床応用されてきた。CTCL腫瘍化機序と病態解析が進められ，腫瘍細胞と微小環境としての皮虜の相互作用が注目を集めている。本邦においては，皮虜病変を有する成人T細胞白血病（ATLL)が，皮虜リンパ腫の2番目の頻度である。献血データからHTLV-1キャリアは少なくとも108万人と考えられ，高齢層へのシフトが起きている。ATLLおよびHTLV-1関連疾患機序が分子レベルで解明されつつある。