【オプトジェネティクスによる細胞機能の光操作】

摘要

神経科学分野では近年，光遺伝学（オプトジェネティクス）とよばれる技術が急速に発展してきており，大きな注目を浴びている。オプトジェネティクスとは，光に感受性を持つ分子ツール（Optogenetic Molecular Reagents；OMR）を細胞に導入することで，細胞機能を光で制御する技術である。これにより，例えば入り組んだ神経回路の中の特定の神経細胞を瞬時に興奮?抑制させることが可能となる。最近ではさらに，細胞内シグナル経路や遺伝子発現の光操作も可能になってきており，利用範囲はもはや神経科学分野だけに留まらない。今後，医学?生命科学の広範な研究分野で普及が広がっていくと期待される。本稿ではオプトジェネティクスの特徴を概説するとともに，実際にオプトジェネティクスを利用する際に熟慮すべき3つの要件について解説する。