探検と発見のアメリ力地誌—地誌学の再構築に向けて―

摘要

地誌学は地域を説明するための考察の枠組を提示し，地域スヶールに応じた地域像を描くことを目的とする.今日，地誌学を再評価?再構築することが急務である.そこでアメリ力地誌の新しい方法を提示するために，自然と人間，起源と伝播，地域と景観，時間と変化に着目した.コロンブスの到来以降，アメリ力先住民の世界は大きく改変され，北東部には北西ヨーロッパ系小農経済文化地域，南東部にはプランテ一ション経済文化地域，南西部にはイベリア系牧畜経済文化地域が形成された. 19世紀後半に北西ヨーロッパ系小農経済文化地域が全土に拡大した.そして20世紀に入って1960年代末までにアメリ力的生活?生産様式が確立し，1970年代以降，アメリ力型多民族社会?分断社会が形成された.21世紀のアメリ力の地域像を描くためには，「世界の博物館アメリ力」という考察の枠組が有効である.アメリ力地誌には探検と発見の可能性に満ちた魅力的なフロンテイアが存在する.