使用済み核燃料からの有用な稀少金属の活用を考える

摘要

近年、原子力ルネッサンスと称し、CO_2排出量の少ないエネルギー源としての原子力の役割と重要性が再認識されている。原子核分裂反応(~(235)U)と燃焼化学反応(C)を比較した場合、燃料単位グラム当たりで前者は後者の約二〇〇万倍のエネルギー密度があり、仮に標準的軽水炉使用済み燃料一〇〇〇ミリから抽出したプルトニウムをリサイクルできたとすると、そのエネルギーはクウェートの年間原油生産塵の五分の一から四分の一に相当するといわれている。その分、省資源（原油）やCO_2放出削減に有効であり、原子力や高速炉燃料サイクルの導入の必要性が再び論じられているわけである。それに伴い核燃料バックエンドサイクルにおいては、放射性廃棄物の処理·処分における環境負荷の軽減を目的として、長寿命放射性核種の分離変換技術に関する基盤研究が進められている。