自動車産業における生産システムの革新：変化に対応し長期間使える循環型生産方式－カーエアコン向け多世代対応自動組立テイン

摘要

今日，生き残りをかけた企業間競争はますます熾烈となりグローバルに展開されている。 競争力確保のために新製品の開発や改良が頻繁に繰り返されると対応できない製造部門においては，自動化設備の大きな新規投資や改造費用が発生し，製造ライフサイクルコストが上昇する。 逆に，自動化を断念し手作業にしてしまうと，低労務費国への生産移転（国内空洞化）を招くことになる。 これは高度自動化を主体にしてきた日本のモノづくりの危機といっても過言ではない。 そこで我々は，高品質と高生産性のポテンシャルが高い自動化生産システムをベースに，激しい変化に対応しつつ製造ライフサイクルコストを著しく低減できる新しいフレキシブル生産システムの開発に取り組んだ。 今回我々が開発した「循環型生産方式」は，長期間にわたり設備を再使用し続けることにより，製造ライフサイクルコストを著しく低減する新しい概念のフレキシブル生産システムである。 当社では1998年より，カーエアコン組立ラインを対象に「循環型生産方式」を適用している。 現在，工場では9本のラインが稼働中であり，ライン間でのダイナミックな設備の再利用等で大きな効果が確認されている。