チタン酸バリウム微粒子のゾルーゲル合成に及ぼす混合条件の影響

摘要

ゾルーゲル法における水酸化バリウム水溶液とチタンアルコキシド溶液の2液混合状態を反応器内の溶液の流速によって定量化し，2液混合状態がチタン酸バリウム微粒子の粉体特性に与える影響について検討した結果，以下の知見が得られた。 （1）2液混合条件（＝流速）はゾルトゲル反応により得られるチタソ酸バリウム微粒子の組成に影響を与えなかった。 （2）流速が大きいほど得られる粒子の粒子径は小さく，かっ粒子径のばらつきは小さくなる傾向が認められた。 これは水酸化バリウム水溶液とチタンアルコキシド溶液が急激に混合されることによりBaとTiの核生成反応場が増加し，核の濃度が増加するため核生成後の成長段階でのモノマーが減少し，粒子径が小さくなったと考えられる。 更に溶媒による急激な希釈が核生成を短時間で終了させた結果，粒度分布が狭くなったと考えられた。 （3）流速が大きいぼど格子定数の大きな立方晶チタン酸バリウムが得られた。 これは，流速の増加とともにチタン酸バリウム格子内に取り込まれる水酸基量が増加することにより格子欠陥が増加し，結晶格子が広がったためと考えられた。