自家用電気工作物の使用前自主検査の現状について

摘要

自家用電気工作物の長期安定運転に必要な保安水準の確保に当たり，工事計画届出，使用前自主検査及び安全管理審査がそのための重要な仕組みとなっている。また，特別高圧受電の需要設備は，多くの人々が集まる大規模な商業施設，病院，防災施設，危険物を取り扱うプラント，産業を支える製造工場など，電気事故による社会的な影響は甚だ大きい。1995年以降，自主保安体制の確立を前提とした規制緩和が継続的に行われているが，厳しい経営環境下，電気保安を担う現場の状況は，人材確保，技術継承，設備延命化事故や災害対策など，様々な課題を抱えるに至っている。経営者は現場実態をよく把握した上で，危機管理上，さらなる工事計画届出範囲等の規制緩和を要望してよいものか熟慮するときを迎えている。