歪波電源で運転される三相誘導電動機の脈動トルクの特性

摘要

歪波は多くの高調波を含んでいるためにトルクが脈動したり、騒音を発生したり、銅損のために効率が悪くなることはよく知られている。 このように歪波電源で三相誘導電動機（以下電動機と略す）を運転すると特性に悪影響を及ぼす。 大抵の脈動トルクは無負荷か始動時に起ることが知られている。 脈動トルクは電動機の軸に害を与え、時には機械的な共振を伴って軸を破壊することもある。脈動トルクは1次電流と2次電流の高調波の次数の差がある時に生ずる。 既に脈動トルクの文献は多くあるが、大部分のものは電流形インバータに関するものが多い。 電流形インバータの電源に含まれる高調波は(6k±1)次で、電源周波数の6倍の周波数の脈動トルクが発生する。 脈動トルクは古くから研究されており、多数の文献がある。脈動トルクの高調波の次数や振幅についても、ほぼ解明されている。 しかしながら、これらの文献は定常トルクと脈動トルクの関連性については述べていない。 さらにコンデンサ電動機の脈動トルクの振幅をテンソルで解析した例もある。解析に使われる高調波の次数は基本波、5次、7次、…(6k±1)次である。 これらの文献はインバータ特有の波形や高調波の次数に由来したものであり、一般化されているとは言い難い面もある。 現在までに歪波電源としてはインバータの特定の高調波しか解析に使われていなく、全ての高調波が統一的に取り扱われているとは言えない。 筆者らは定常トルクと脈動トルクを任意の高調波で同時に、統一的に解析できる方法を提案している。 本文は一般化された任意の時間高調波を含む電源で駆動される電動機の定常トルクおよび脈動トルクの高調波の次数と振幅を簡単に算出できる方法を提案している。 特に任意の高調波で発生する脈動トルクの高調波の次数は一般化された表により簡単に予測できる。