火花点火機関のCFDシミュレーション技術開発と適用の現状

摘要

エンジンにおけるCFDの発展は筒内スワールの解析から始まった。 1975年ごろより，吸気行程に生成されたスワールの圧縮行程での減衰の解析が成されるようになったが,その当時の計算機熊力では，単純な軸対称2次元問題でさえ，数日の計算時間を要し，また，計算コストも高く，とても設計には使える道具ではなかった。 その後，計算手法の発達もあったが，計算機の進歩は非常に著しく，2年で約3倍の速度向上が，吸気ポート付きの実形状3次元筒内流れを約1日で計算可能とした。 一方，車のユーザーニーズの多様化と販売競争の激化は，多品種の開発を短期間に低コストで行うことを要求し，設計－試作－実験評価の繰り返しによる開発法を，試作前にCAEによって最適設計が成され1回の試作で高い完成度が得られる開発法への変革を促している。エンジンでは，吸気されてから燃焼し，排気までの流れが重安な役割を演じており，設計へのCFD活用の期待が高い。 ここでは，火花点火機関の開発·設計へのCFD活用の状況と課題を紹介する。