高温高圧用弁座材（コバルトフリー弁産材）の開発研究

摘要

原子力プラントの給復水系などの仕切弁に適用するコバルトフリー材は，弁出入口に大きな差圧を受けた状態での開閉作動において弁座部に焼付けが生じないことが重要であり，本研究結果から以下の結論を得た。 1）実機弁に近い摺動条件（面圧196MPa，距離20mmなど）で焼付摩耗試験を行った結果，弁体側にA-1と弁座側にA－3を組み合わせることによって，弁座と弁体がステライトNo．6同士の組合せの場合と同等の招動特性が得られた。2）この組合せの結果が良好であるのはA－3材にはFeを多く含有させており，摺動に際して酸化被膜を形成し凝着を生じ難いことや，A-3とA－1との間には硬度差があり，軟質のA-3側のせん断力が小さく大きな摺動傷に進まないことなどが考えられる。 3）既存のプラントへニッケル基合金を適用する場合，弁座側を現状のステライトNo．6とし，弁体側をA－2またはA－3とすることが現実的であり，その組合せについても艮好な摺動性が得られた。4）今回の試験で開発した合金の組合せは大口径高温高圧用弁座材（弁座材＋弁体材）に十分適用可能な材料であることが分かった。