色素増感太陽電池の実用化に向けての課題

摘要

ロシアの批准書が国連に寄託され，この2月に「京都議定書」が発効する．議長国である我が国は温室効果ガスの排出削減に向け，厳しい目標を達成する義務と責任がある．排出量取引も盛んになるだろうが，一方でェネルギー供給構造も大きく変える必要がある．エネルギーの消費は世界的にも年々増加の一途であり，間違いなく今世紀中に石油枯渇に直面するであろう．エネルギー資源に乏しい我が国において，太陽エネルギーは無尽蔵で輸入に頼らず利用できる頼もしい自然エネルギーである．太陽光発電において先達らの努力によって導入量，生産量ともここ数年世界一の座についている．しかし，2002年の実績で見てみると，国内での導入量が僅か63.7万kWであり，これから生み出される電力量は電力会社の全販売量0.1％にも満たない．太陽光発電が真に地球環境保全に貢献するには，普及の障害であるコストの低減が最重要課題であることはもちろんだが，LCAやェネルギーペイバッグタイムに優れ，廃棄性やリサイクル性も考慮する必要がある．