太陽光発電設備の安全に関する課題提出と意見表明（2）－工学を越えて行動科学による方略

摘要

前稿に引き続いて，本稿では，個々のPVS事故の背後にある共通点を行動科学の視点から探り，規範とのかい離を述べ，事態に対しいかに向きあうべきかという対処法を模索してゆく．前稿では，事故発生後の司法的事後統制では同一業者による事故の再生産を予防できないこと，そして，事故の再生産を防止するに当たっての注意点までを述べた．しかし事故は未然防止されるべきであり，そのためには事前統制が必要である．そして事前統制のためには判断に当たって参考にすべき基準というものを考えなくてはならなくなる．そこで次に，近年話題となっているPVS火災を取り上げ，その防止に向けた基準策定の取り組みを紹介する．