100%RE社会に向けた有機系太陽電池と人工光合成の展望

摘要

太陽光発電で用いられる太陽電池は，近年著しい進歩を遂げている．メガソーラー発電等で用いられるシリコン系太陽電池は光電変換効率が20%以上に達しており，地上に降り注ぐ太陽光エネルギーの5分の1を電力に変換している．また，シリコン系太陽電池で課題とされる製造エネルギーの低減や資源の枯渇といった諸問題を克服するため，比較的安価な設備で大量に製造できる塗布型太陽電池や有機物で構成された有機系太陽電池など様々なタイプの次世代太陽電の研究開発も進んでいる．単に光電変換効率の向上だけでなく，太陽電池の多様化も同時に進んでおり，安全安心な持続可能社会の実現に向けた太陽電池の研究開発は21世紀に入って隆盛を極めている．本稿では，この次世代太陽電池の中でも塗布型の有機系太陽電池にスポットを当て，100%エネルギー再生可能エネルギー（100%RE）社会の実現に必要な技術とは何か考えてみたい．