風力発電ゐ歴史·その12－世界の小型風力発電機の歴史

摘要

19世紀末の，1890年前後に英国，米国，デンマーク，あるいはフランスなどにおいて，最初の風力発電が試みられたが，この連載の第2回～風力発電の始まり～で述べたように，一般にはデンマークのP.ラクールが風力発電の創始者といわれている．その後，20世紀に入ると航空機の出現とその開発により，風力タービンに直ちに適用できる航空機用の空気力学やプロペラの研究開発が活発に行われるようになった．この間1920年前後には，英国のF.ランチェスターやドイツのA.ベッツ，あるいはロシアのジューコフスキーなどが，風車により風から得られる理想的な最大利用可能係数を明らかにしている．そして，注目すべき動向として，いくつかの国において発電用により適した空気力学的形状を有する，新しいタイプの2枚ないし3枚ブレードを有する高速回転の風力タービンの導入が行われた．これらは系統連系用の大型風車とは異なり，主として送電網の届かない無電化地帯において，独立電源として蓄電池充電用として用いられたものが多い．現在も各国において多数の小型風力発電装置が製造されており，その製造企業の数は200社を超えている．