放電現象からみた半導体の静電破壊試験の市場相関性

摘要

図1の考え方は静電気関係者には一般となっており，さまざまな検討がこのような回路を基礎としている．しかし，実際の放電現象を探求すると，放電中の人体の容量は10pF程度であり，静的な静電容量（100pFまたは200pF）とは全く異なるなど，上記の常識が覆る．そして，現在のESD試験の相関性への疑問が明らかになる．この問題は，主に静電気の技術者がESD試験を考案したためと考えられる．静電気の分野では，放電を電荷の可視的な移動のイメージで認識する程度で，実際の放電の定量的な検討が十分で無かった．放電は自然界で最も速い現象の一つで，電位差がある導体間の容量の放電であり，静電気の放電ではない．「静電気放電」は慣用語である．そして，放電の理解には電気工学的な検討が必要である．ここでは，デバイスの取り扱い環境で起こる放電現象に着目し，各ESD試験の妥当性，実際の破壊現象に対する相関性，問題解決に向けた提言を行う．