日本原子力研究機構,準結晶物質の謎の解明--新材料開発に突破口となるか

摘要

日本原子力研究機構は，Spring8の放射光X線を用いて，Cd-Yb合金について，合金内部に規則的に配列するカドミウムの原子団が，冷却·加圧することにより敏感に向きを変え，原子団同士が8種類ものパターンに及ぶ向きのそろえ方をすることを発見した。 これは，準結晶物質群が多様な低温高圧特性を持ち得ることを示した世界初の成果である。 1984年に発見された準結晶は，それまで知られていた結晶や，アモルファスでは考えられない物質で,結晶ではあり得ない5角形構造を有しており，固体物質の常識を覆したこの新物質群はいまだに謎が多く，その特性の解明が望まれている。