ナノメートル制御CNC

摘要

近年NC工作機械において，IT (Information Technology)産業の活況化を背景に注目を集めているものが超精密加工機である。 いわゆるナノ加工機である。 主な加工物は，液晶ディスプレイに用いる導光板や非球面レンズ加工等である。その加工精度レベルは，既存のCNC制御よりも1けた～2けた高いナノ領域の精度が要求される。 高精度に対する要求はNC工作機械の本質的なニーズであるが，IT 製品に利用される電子部品や光学機器の需要の高まりに連鎖して，ナノ加工機を制御するCNCの需要が拡大している。 三菱電機は，この需要にこたえるナノメートル制御CNCを開発した。 従来のCNC装置の最小制御単位はサブミクロン（0.1マイクロメートル）までの対応が可能である。しかし，位置·速度のデータ長が32ビットのアーキテクチャを基本に設計されているCNCシステムでは，ここまでが限界であった。 当社は，このハードルをクリアすることで，完全なナノメートル制御に対応できるCNCシステムを開発した。 技術的な特長は下記の2点である。 (1)CNCシステムの64ビットアーキテクチャ化と新CPU エンジン位置·速度データ長64ビットのナノ演算を実現し，指令範囲を1ミクロン時と同等で，ナノメートル制御の分解能に対応した。また，新CPUエンジンを採用し，CNCシステム全体の処理能力を当社従来機比2倍以上に引き上げ基本性能の向上を図った。(2)サーボネットワークの高速化とサーボアンプの高応答化サーボアンプとCNC装置間ネットワークを光方式に変更し，従来比10倍の高速通信を実現した。 また，アンプの制御CPUの高速化で，サーボ応答能力の向上とフィードバック分解能1ナノメートル以下を対応可能にした。