携帯電話の急速な普及に伴い,携帯電話に搭載される高出力増幅器に対する高性能化·低価格化の要求は年々高まっている。さらに,GSM(Global System for Mobile Communications)方式携帯端末機では,小型化·低価格化を目的にアイソレータやレギュレータなどの部品を削減して高密度実装化が進められている。 このため,端末機に搭載される高出力増幅器は,バッテリー充電時の電源電圧上昇やアンテナの負荷変動など,動作環境としては極めて厳しい条件下においても安定に動作することが要求される。今回,電源電圧上昇や出力負荷変動時におけるHBT (Heterojunction Bipolar Transistor)素子の動作を詳細に解析し,増幅器の出力電圧振幅を制限するフィードバック回路の適用,放熱構造の最適化を行うことにより,電源電圧上昇や出力負荷変動時においても安定に動作する900MHz/1,800MHzデュアルバンドGSM方式携帯電話用AlGaAs HBT MMIC(Microwave Monolithic IC)高出力増幅器の量産化を実現した。 本稿では,その開発経緯を概説する。
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