干渉型合成開口レーダによる三次元地図作成

摘要

近年，地震や津波などの災害が全国各地で発生しているため，その監視システムを構築して，災害発生時の危機管理を強化することが急務になっている。また，高精度の三次元地図を全国レベルで整備し，一元管理して必要な行政·機関に配信できる三次元空間データ基盤の整備がますます重要になってきている。一方，航空機をプラットフォームとする干渉型合成開口レーダは，機動性に優れ，電波を用いているので，昼夜，あるいは雲や噴煙の有無にかかわらず観測が可能である。 また，光学センサと比較して，広い範囲の三次元地図を迅速に作成できる特長を持っている。 このため，高精度の三次元地図作成用センサとしての利用が期待されている。三菱電機では，このような目的で使用するKu帯の干渉型合成開口レーダ(Interferometric Synthetic Aperture Radar: InSAR)システムと，三次元地図を作成するインタフェロメトリ処理アルゴリズムを開発した。 本稿では，干渉型合成開口レーダの原理を説明して，開発した航空機搭載干渉型合成開口レーダシステム及びインタフェロメトリ処理アルゴリズムを紹介する。 また，フライト試験で取得したフィールドデータを用いて，精度評価を行った。結果として，開発した干渉型合成開口レーダによる三次元地図が，50cm×50cmのメッシュサイズにおいて高度精度50cmを達成したことを述べる。