高精度金型加工制御機能

摘要

金型加工の高精度化及び加工時間短縮に対する要求は年々高まっている。 これに伴い，工作機械の制御装置である数値制御装置(NC)は，指令形状，指令速度又は加工物の位置によらず，高い加工精度を維持しつつより高速に加工する能力が求められている。 このような高速·高精度な軌跡制御を実現するためには，NCのハードウェア(CPU，記憶装置，検出器等），ソフトウェア（指令値生成方式，機械誤差補正方式，サーボ制御方式）を含め，総合的にNCの能力を高めて対応する必要がある。このうち，本稿では，金型加工において特に有効な機能として，ソフトウェアに関する次の2機能を取り上げ，その特長と効果を紹介する。 (1)SSS (Super Smooth Surface)制御(2) OMR (Optimal Machine Response)制御SSS制御は，滑らかな加工面を短時間に加工するための最適速度制御機能であり，加工プログラムに記述された指令形状の品質（精度）によらず，安定して高精度な加工を短時間に実現する。 SSS制御の特長と，美麗な加工面が得られた加工結果を紹介する。 一方，OMR制御は，モデルに基づいて機械の誤差を補正する機能であり，機械の速度や位置などの条件によらず高精度加工を行うことを可能とする。 機械の誤差要因に対応して開発したOMR－I，OMR－Ⅱ，OMR－Ⅲの各機能の特長と実験結果を紹介する。