単鎖抗体の高密度配向固定化技術の 開発と高感度免疫診断への応用

摘要

将来の予防医療社会を考えるうえで，疾病診断技術， 特に抗体を用いる免疫診断（イムノアツセイ）の高感度 化と低コスト化の両立は直近の課題であり，これらの課 題解決のために技術革新が必要なことは言うまでもな い.すなわち，今後は，投薬や手術など，疾病患者の負 担が大きい「治療」中心の医療社会から，遺伝情報や個 人の体質を正確に把握し，疾病の発症を未然に防ぐ「予 防」中心の医療社会へ変化すると考えられ，これまで以 上に診断技術の充実化が必要となる.現行の診断技術で は，検査項目数の増大に伴う診断コストの高騰ならびに 診断処理時間の超過は避けられず，これまで以上に高感 度，低コストならびにハイスループツトなイムノアツセ イの開発が急務とされている.