水稲品種「コシヒカリ」の高温登熟回避を目的とした 晚植条件下における密植栽培の評価

摘要

高温登熟回避を目的として晚植したコシヒカリにおいて，密植栽培が生育，又量および品質に及ぼす影響を調 査するとともに，晚植, 密植栽培導入の有効性について評価した.その結果，穂数は栽植密度が高いほど多くなり，収量は18.2株/m~2区に比べて21.2株/m~2区および24 . 2株/m~2区で高かった.また，登熟期間に日射量が少ない 年次においては，栽植密度が高いほど収量が増加した.外観品質は晚植, 密植栽培を行うことで2ケ年を通して高水 準となり，登熟期間に日射量が多い年次でより整粒歩合が高かった.これらのことから，晚植条件下における密植栽 培は収量, 品質の安定ィ匕に有効であり，加えて，登熟期間の高温を回避しつつ日射量を確保することが収量, 品質の さらなる安定化に有効であることが示唆された.