バレイショのマクロチューバ一を種ィモとする圃場栽培において 種ィモの大きさおよび栽植密度が塊茎数と平均一個重に及ぼす影響

摘要

バレイショ採種における低増殖率を解決する一つの手段として，器内培養で大量に増殖したマイクロチューバ―(MT)を種ィモにする栽培（MT栽培）が検討されている.本研究では，MT栽培特性が異なる2品種を用いて， 大きさの異なるMTを種ィモとする試験,および異なる栽植密度の試験を，それぞれ3水準で行い，慣行の種ィモ（CT) を用いる栽培（CT栽培）と比較した.MTの種ィモの大きさ別の試験では，両品種とも塊茎肥大初期には小粒MT (0.3 -0.49g)を種ィモとした栽培ほど塊茎数が少なかった.しカゝし，MT栽培で個数型となる農林1号では，収穫期に おいて小粒MTを種ィモとした栽培の塊茎数がCT栽培と同程度まで増加した.塊茎肥大初期の塊茎形質とそれ以降 の塊茎数増加割合との間には有意な負の相関関係が認められ，これらの品種間差異力収穫期の塊茎数に影響を及ぼし たと推察された.また，MT栽培で個重型となるニシュタカでは，大粒MT (l.l-3.0g)を種ィモとした栽培で収 穫期の一個重がCT栽培に比べ大きくなつた.さらに，CT栽培と同様にMT栽培でも密植とすることで，MT栽培 で個数型となる男爵著および，個重型となるトヨシ口のいずれの品種でも単位面積当たりの塊茎数力s増加し，一個重 が減少した.以上の結果から，塊茎数の確保を目的とした採種栽培で，MTを種ィモとする場合には，個数型'個重 型品種に関わらず，大粒よりも小粒のMTを用いて，密植で栽培することが望ましいと推察した.